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□キスしたかったから
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シャロンの夢を見た

どういう状況だったのか
全然わからないが、とにかく
あいつは笑ってた

おれの大好きな笑顔で

暫くの間ベッドの上で
あいつの笑顔を思い出し
一人幸せに浸るものの
やはり本物が恋しい

手早く着替えて、とはいっても
おれの場合ズボンだけだが
まぁ、とにかくシャロンの
部屋へと足を向ける

外に出て気付いたんだが
まだ明け方近くらしい

空が白くなり始めている

「(シャロンの奴、
まだ寝てんだろーな…。
起こしたら怒るか?)」

そうこう考えてるうちに
シャロンの部屋の前まで来た

「シャロン〜起きてっか?」

「………。」

「シャロン?」

「………。」

「(やっぱ寝てっか…。
でもなぁ…此処まで来たのに
戻りたくねぇしどうすっかな〜〜
…………っよし!)」

おれは部屋のノブに手を掛ける

―ガチャ……ガチャガチャ……

「(鍵かかってるな…
……まぁ当然っちゃ当然か…
……………それなら……。)」

おれは掌をドアにあてた

一瞬にして炎に包まれたドアは
黒焦げの木版、つまり炭と化する

軽く蹴るとそれは簡単に外れ
おれは部屋の中に入った

「シャロン〜?」

「………………ぅ…?」

「おはよーシャロン。」

「………んぅ…………エース!!?……………なんで?」

「シャロンの夢見たから
本物に会いたくなった。」

「そうじゃなくて!!…どうやって
…入ったのって聞いてるの。」

怪訝そうな顔をするシャロンに
おれは顎で後ろに転がってる
かつてドアだったものを指した

「…!!!ちょっと何よこれ?
なんて事してくれたの!!
あーもう、また船大工さんに
怒られるじゃない!!!」

「ドアくれぇでギャーギャー
うるせぇんだよ。少し黙っとけ。

「ドアくらっ…!!……っん…。」

言葉を遮る様に唇をふさいだ

「…………会いたくなったなんて
……嘘だ。」

「えっ?」


キスしたかったから




title:確かに恋だった 様


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