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□ねぇ
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「ねぇ。」
「……んあ?」
「………ねぇ。」
「……………なんだ?」
私は目の前にいるエースに
もう一度、ねぇと言った。
返事を求めてる訳じゃ無いの、分かってくれる?
今度は何も言わずに少しの間、
私の顔をじっと見つめるエース。
そう…欲しいのは言葉じゃない。
「ねぇ?」
私はもう一度だけ、促すようにその言葉を紡いだ。
……ちゅ
ふいに目の前が暗くなり
耳に届くリップ音に
エースが私にキスしたのだと理解する。
触れるだけの優しいキス。
私の唇に残る温かな感触に
ふ、と自然に口角があがってしまった。
「…これが欲しかったんだろ?」
にやりと得意顔のエースと目が合う。
緩みきってしまった顔を見られたくなくて
慌てて視線を外した。
"ねぇ"
それは魔法の呪文。
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