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□繚乱〜終章〜百花繚乱
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近藤と朧月。
離れたかに見えた二人は花魁桜花と東雲の画策で元の鞘に納まった。
いや、元の鞘以上に結び付いている様に思うほど、近藤は桜花廊に通い詰め、朧月もそれを待ち望んでいる。
勿論通い詰めるという事は必然的に近藤が人斬りの仕事をしているという意味なのだが、瓦版に見付かる様な下手を打たなくなった事もあり、その事を話題にする色子も減っている。
それならあえて話に出す事も無い。
朧月も近藤が来る事の裏に「それ」があると知らない訳ではない。
だが敢えて何も言わなかった。
変わりに朧月は近藤が来る度に近藤の体調や気分の良し悪しを気にする様になった。
人を斬る事で近藤が受ける「心の痛み」を少しでも軽くしたい。
朧月はそれだけを考えていた。
だからだろうか、最近は朧月が部屋に入るとすぐ、近藤は朧月の膝枕で一頻りくだらない話をする。
それが近藤なりに自分のした「事」を整理しているのだと自然と朧月は理解していたし、言葉には決して出来ないが、自分の前でそうする近藤が堪らなく愛おしかった。
そんな冬の日。
変わらず通い詰める近藤を膝枕して朧月は優しい声で言う。
「少し冷えますね…火を入れましょうか?」
「いや、こうしていれば良い」
「もうしばらくしたら、紅葉が腕によりをかけたお鍋を持って参りますよ」
「そうか、なら、起きて待っていてやらなくてはな」
微笑む朧月にそう言うと、ゆるゆると体を起こし、朧月に軽い口付けを与えてから近藤は据えられたままの膳の前に着く。
すっかり熱燗が冷めているのを取り替えもせず、近藤は銚子を空にする。
あっと言う間にそこにあった銚子を空ける頃、新しい熱燗と紅葉が精一杯頑張った料理が辿り着き、座敷はまるで家族の団欒の様な暖かい空気に包まれた。
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