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□繚乱〜東雲〜
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それから桂は度々若い女性や親子連れを引き連れて店へ戻っては必ず「この子と同じ物を」と注文を受ける様になった。
当たり前だが喜んだのは両親店子で、招き猫よろしく桂の髪には常に新しい、桂に良く似合う簪が挿される様になっていた。

それから数年。
相変わらず桂は女の姿のまま、もうすぐ十三を迎えようとしている。
毎日桂の髪を飾る簪は変わり、店には客が来る。千客万来、とでも言うのだろうこの状況に、桂の両親はてんてこ舞いだったが、日々桂に挿す簪だけは二人とも楽しく選んでいた。
当たり前だが「そろそろ桂は男の子として」と話も出る。
しかし店の賑わいは桂を男に戻してはくれず、それをまるで受け入れた様に桂は徐々に女の「艶めいた」美しさを備える様になっていた。

そんなある日。
近所でも評判の色男で、桂にとっては二歳違いの幼なじみである少年が桂を呼び出した。
「草太さん、お話って?」
神社の境内。
周りに人影はない。
少年、草太は照れながらも真面目な顔で桂に言う。
「俺、十五になったら店の事真面目にやる。親父様はあの店は俺が継ぐんだって決めてるから…」
「草太さんなら良い旦那さんになれると思うわ、私」
にこにことする桂に草太は続ける。
「だから、俺、お桂ちゃんに…俺の嫁になって欲しい」
「…え?」
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