R×B SS
□お正月
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今日は年新しく1月1日、新たな年を迎えたばかりである。
「新たな年を迎えためでたき日」という事で、今日は燐や綱吉達のいるあの寮の大広間で祓魔塾の皆が集まって新年会を開く事になっていた。
「皆さん明けましておめでとう御座います。」
「明けましておめでとー! もう皆揃ってっかー?」
新年会開始予定時刻の約10分前、大広間に燐と雪男の声が響く。中を見回すと既に多くの人が集まっていた。
するとパタパタと足音を立てながら近付いてくる着物の少女の姿があった。
「燐、雪ちゃん、明けましておめでとう♪」
それは祓魔屋の1人娘のしえみだった。
「よぉしえみ、…っておぉ!?」
燐はしえみの姿を見るなり驚きの声をあげる。
驚いた燐の目の先にはしえみの着物姿が映っている。そしてその着物はいつものとは違い、お正月に相応しい淡い色合いで可愛らしい着物であった。
「お前、その着物いつものと違うんだな。」
「お母さんに頼んで出してもらったの。あっ、もしかして変!?」
「いいや、しえみによく似合ってんぞ。可愛いぜ♪」
「そ、そっか、ありがとう。」
「可愛い」と言われたしえみの顔はみるみるうちに朱に染まっていってしまった。
しえみが恥ずかしさから俯いてしまっているとまた1人の少女が近付いてきた。
「何やってんのよ、燐。…今日は遅刻しなかったのね。」
「流石に今日はしねぇよ。って、お前も着物なのか。」
出雲である。
「ふん、どうせ私には似合わないって言うんでしょ? そんなの自分が一番分かってるわよ。」
少し頬を膨らませながら言う出雲はどこか機嫌が斜めなように見える。
「似合わない? 何言ってんだ? よく似合ってんじゃねぇか。」
「なっ!? …ふんっ。」
燐の言葉に機嫌が斜めな感じはなくなったが出雲はしえみと同じように顔を朱に染め俯いてしまった。
するとまたそこに近付いてくる3人の影があった。
「おい、奥村お前て…。」
「なんていうか、こう…。」
「天然さんな…、たらしやなぁ。」
いつも仲良く一緒にいる勝呂と子猫丸と志摩の3人であった。
「たらし…? 新年早々会ったばかりってぇのに何なんだよ、お前等! 喧嘩売ってんのか? あぁ!?」
燐は3人の言葉を聞いてどこぞの不良のように怒りを露わにしている。
それを見た雪男は慌てて燐を止めに入る。
「兄さん落ち着いて。」
「これが落ち着いてられっかよ!」
「兄さん!」
この後燐は雪男に宥められなんとか怒りを抑えた。
が、この後の燐の言葉に皆呆れる事になった。
「…で、たらしって何だ?」
その場にいた人達は皆唖然というか呆れている。
「兄さん…?」
「ん?」
「たらしの意味、知らないで怒ってたの?」
「あぁ、なんとなく良い意味じゃ無さそうだったからな!」
「兄さん…。」
雪男は実の兄のバカさ加減に頭を抱え暗い顔をしている。
他の人達に関してはため息を吐いている。
「奥村くんあのなぁ、たらし言うんは…。」
と志摩が燐に説明しようとすると大広間の戸が開き何人かの人物が入ってきた。