Butler of goddess

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「桜庭。」
ローズがそう言うと、後ろに控えていた桜庭が、すぐさま
「はっ。」
と短く返事をして、メイの前に出てきた。
「東雲様、
どうぞこれを。」
そう言って差し出したのは、アンティーク調のベルだった。
「そのベルは我校生徒の証。
あなたが何かひとつ、良き行いをするたびに
この“光-ルチア-”をひとつさしあげましょう。」
そう言うと、ローズはそのベルにルチアを嵌めた。
「はい。これは私からの入学のお祝い。
こうやってはめるのよ。
そして、このルチアを10個集めると“星-ステラ-”の緑の光。
さらに10個集めると“月-ルナ-”の青の光。
さらにさらに10個集めると、“太陽-ソーレ-”の赤の光と交換できる。
この学校では、そうやってみんな自分をランクアップさせていくの。
3色のルチア。その全てを、あなたは手に入れることができるかしら…?」
それを一気に説明したローズを、愛は心の中で尊敬した。

「…ただし、あなたはまだルチアの無い“陰-オンブラ-”。
執事も、そんな格好をする資格はないわ。」
ローズがそう言うと、桜庭が真人の前に立った。
「ごめんね、柴田くん。」
そう言うと、桜庭は見事な剣捌きで真人のスワロウテールだけを切り裂いた。
その時、金のバッチをキャッチしたのは流石と言うべきか。

「な…なんてことするの…!?」
そんな執事を庇おうと、
メイは真人の前に立った。
「メイ様…」
「だって…!!」
これじゃあまりにも可哀相、といった理由だろうか。
「アハハハハ…
ちょっとステキな執事だったけど、
オンボロ寮に飼われてるんじゃそれで十分ねー。」
リカを筆頭に、他の生徒達も笑い始める。
「くすくすくす…
やだ、かわいそー。
くすくす…」
そんな生徒達に、メイは眉を寄せた。
「…悔しい?
だったら努力なさい。
貴女がルチアを沢山集めることができれば、
貴女も貴女の執事もそれ相応の扱いを受けることができるのよ。」
そう言って笑うローズに、メイは何かを感じ取ったようだ。
「ごめんなさい、真人さん…。
あたしのせいで…。」
申し訳無さそうにするメイに、真人は微笑んだ。
「私のことは、どうぞお気になさらず。
今日からがんばりましょう。」
「はい!!」
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