Butler of goddess

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―夕食―

椅子に座った時、二学年の席―愛達の方からドスッと大きな音がした。
その時、愛の向かいに座っているリカが冷たく言った。
「優雅じゃないわ。」
そして、他の生徒達も言う。
「何だか、慣れてないってかんじ。」
「いくら執事が優秀でも、アレじゃあね…。」
クスクス、と嫌な笑い声が響く。
当の本人は俯いて黙っている。
「(…何も夕食でこんな……。)」
愛も内心溜息をついていたが、愛の斜め後ろの二人が理人を挟んで会話していた。
「かわいそうに…。
完全にロックオンされちまったな…。」
「華山様は、美人な分タチが悪い…。」
根津と大門である。
…つまり、愛の両脇には不二子とみるくが居るのだ。

「夕食時にそんな話をするほうが優雅じゃないよ。
リカらしくない。」
「!!」
口を開いたのは、泉だった。
「それはそうと。
東雲さんて、どこから来たの?
ぜひ、聞いてみたいな。」
興味深そうに訊ねる泉に、メイは心底救われた気分になった。
「は…はい!!
あたし、四国から来ました。」
「行ったことないわねー。
どんなとこよ。」
「うんっ。
すっごくうどんがおいしくて…v」
「う…うどん?」
楽しげに会話する周りの声を聞きながら、
愛は黙って俯いていた。

―四国。
それは、愛にとっては嫌な思い出しかない所。
ふと、愛が顔を上げてみると、リカが顔を顰めていた。
肩が震えている事から、机の下で手を強く握っているのであろう。
その姿を見て、愛は思わず声をかけた。
「リカ。」
まさか、今の自分に声をかけるなど思っても居なかったのだろう。
リカが、目を見張った。
「…気にしちゃ、ダメよ。」
普通ならば、この言葉はメイに言う言葉だろうが、リカにも言える事だった。
初めは目を見張っていたが、微かに微笑んで
「ええ。」
と言った。
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