Butler of goddess

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スゥ…
規則的な寝息が聞こえる。
闇に浮かび上がる純白のベッドに横たわる愛の手を両手で包んで見守る理人。
その表情は、愛にしか見せない穏やかで慈しむような、けれどどこか安堵と不安が入り交じったような、そんな表情だ。






「精神的なものです。
―やはり、彼女に会うのは愛様にとってお辛いのでしょう。
…本人は、気付いていないのやもしれませんが。」
普段の優しさを取り繕った冷たい瞳からは、その優しさを感じ取れない程に冷徹な光を宿している。
しかしその声色は愛と理人を労るように柔らかさも持っている。
…器用な人である。←
「…彼女には最低限しか会わせないようにしていたんだかな…。
まさか、今日此処に来るとは―。」
しかし、理人の瞳は忍よりも冷ややかで、静かな怒りと憎悪すらを感じる。
悔しげな、憎々しげな声色も普段より数段低く、本気で怒っている事を表している。
元々感情、特に負の感情を出さない理人がこんなに表に出すのは珍しい。
「迷い込んでこられたのでしょうか。」
「……陰寮とは程遠いと言うのに?」
呆れを交えた溜め息を吐く理人に、忍は笑う事もなく無表情で言った。
「方向感覚が発達しておられないのでしょう。」



数刻前の忍との会話を思い出す。
愛は、あの蝋のように白かった肌に赤みが差し、今はもう落ち着いていた。
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