Butler of goddess

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―その時。

ピクリと小さく動いた指先。
同時に揺れる長い睫毛。
すぐにそれを感じ取った理人は、ハッと目を開けた。

「……り、ひと…?」
まだ完全に開いていない瞳は潤んでいて、手の温もりに唇の端が緩やかに上がった。
「愛!」
思わず安堵の溜め息が漏れ、理人は起きようとする愛を抱き締めた。
驚いたように大きな目を更に大きく見開いたが、すぐに微笑んで理人の背中に手をやる。
―力が出ない。
その感覚には慣れていた。
また発作が起きてしまったのか。
最近は全く出ず、もう治ったと思っていたのに。
理人も発作の後は力が出ない事を勿論知っている為、驚く様子は見せなかった。

「…理人、」
心配掛けてごめんなさい。
そう呟くと、理人は微笑った。
「…オレは、そんな言葉よりも欲しい言葉があるんだが?」
そんな理人に愛も笑った。
「心配してくれてありがとう、理人。」
「…どう致しまして。」
2人で向き合い、額を付けて笑った。













―To be continued.
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