お題

□今宵は星がありません
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夜中。
眠れなくて、いつも夾が寝転がっている屋根に上ってみた。
星を見れば、眠れない理由―夾と透さんが
両想いであろうという悩みも薄れるかもしれない、と思ったからだ。
そして、淡い期待もあった…かもしれない。
もしかしたら、会えるんじゃないかって。

誰も起こさないように、音を立てずに上る。
…誰も、居ない。
けれど、私が上った理由はそれじゃないから、と
寝転がって夜空を眺めた。
―星も、無かった。



私は、そのまま目を伏せる。
その時に眦から一筋、液体が零れたのは気付かないフリ。
…大丈夫。
きっと、明日も明るく生きれる。
明日も、笑顔で乗り切れる。
そう自分に言い聞かせて、私はゆっくりと瞳を閉じた。








今宵は星がありません
(でも、良いの。)
(私には、暗闇がお似合いだから)
















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