Black Joker

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―図工室―

先生の声が広い教室に響く。
「はーい、みんな席について〜。
きょうはお友だちの絵をかきましょう。
正面にすわった人の顔をかいてね。」
それに皆が元気よく答える。

そんな中、あむは―。

運が悪いのか何なのか、ペアの相手は気位の高い山吹 沙綾だった。
沙綾は、ここぞとばかりにアピールする。
「ホホ…。
わたくし、絵画教室に通っていますの。
日奈森さん、実物に忠実に美しくかいてくださらないとゆるしませんわよ?」
…つまりは、周りから絶大(?)な支持を受けているあむに勝とうと思っているのだろう。
そんな自慢げな沙綾に比べて、あむは
「う…うん…。」
と、テンション低めに答えた。
何故なら―。
(こ…これは見せらんないな…。
あたし絵の才能なさすぎ…。)
……まぁ、そういう事だ。

―ところで、星歌の方は…。

星歌のペアは、仲の良い鳩羽 雪だった。
仲が良い人でお互いにホッとしつつ、二人で他愛無い会話をしながら書いていた。

「…よし、できた。」
星歌がそう言うと、雪は星歌が終わるのを待っていたのか、
「じゃあ一緒に先生に出しに行こう。」
と言って、二人で見せ合いながら先生の居るところへ向かっていった。

「…!!凄いね、星歌ちゃん…!!」
雪は唖然としながら、こんな絵でごめんね、と星歌に謝った。
「何言ってるの?
私は、雪ちゃんが書いてくれて嬉しいよ?」
星歌が笑って言うと、雪は涙目になって抱きついた。
「…ありがとう。」
星歌に、精一杯の笑顔を向けて。

―提出した後、先生が星歌の絵を見て騒ぎ出したのは言うまでもない―
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