Black Joker

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次の日―。

「あむ、遅いね。」
「そうねー。
そろそろ時間だけれど…」
「あ、来た。」
先に待っていた二人に謝るあむ。
「ごめん、お待たせー」
「ううん、じゃ行きましょ。
いざ辺里くんの家へ出陣!」
「出陣って大袈裟なー」
そう言って笑い合いながら歩くと、結構すぐに着いた。
純和風なその家は、いつも王子と呼ばれる唯世には縁が無さそうである。
…実際は、唯世の家には洋室すら無いのであるが。
それでも家を知らなかった者からすると、意外の一言であろう。
勿論、あむもだ。

「こ…これが王子の家…?」
「純和風なのが意外よね。

…じゃ、早速呼び鈴を…」
ニコニコと微笑みながら押そうとしたなでしこを止めるあむ。
「どうしたの?あむ。」
「いっ、今更だけど迷惑じゃないかなぁ。
王子、他に好きな人居るって言ってたのに…。」
俯いて不安げな顔をするあむに微笑む二人。
「ああ…あれ?
大丈夫よ、ぜーんぜんっ心配要らないわ。」
「ほえ…?」
確かにあれだけハッキリと好きな人が居ると公言していたのに心配要らないと言われて不審に思わない者は居ないだろう。
「あぁ、それと辺里くんの事王子って呼ばない方が良いよ。」
「??」
「兎に角今はぶつかるのみよ!
辺里くんたのもー!!」
そう言って無情にも呼び鈴を押したなでしこにあむは唖然とした。
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