Black Joker

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校門を過ぎると、その辺りに
居た生徒達が騒いだ。
「あっ、王子さま!」
「見て見て、あそこ。」
「「聖夜学園小ガーディアン!」」
などと言う声が聞こえてくる。


―ガーディアンとは―
生徒による、生徒のための
ちょっと特別な生徒会(みたいなもの)。
“Kチェア”
“Qチェア”
“Jチェア”
“Aチェア”
“BJチェア”
の五つの役職からなり、一年に一度、学園の全生徒の中からたった五人が選ばれる。
生徒たちの個人情報の漏洩や、キツ過ぎる校則…。
あらゆるお悩みから生徒たちを守る。
―まさに守護者"ガーディアン"!

数々の歓声が飛び交い、星歌は微かに眉根を寄せた。
(煩い…)
内心溜息をついていると、ピンク色の髪色をした少女の鞄が、不自然に動いた…気がした。
しかも、独特な“あの”感じがする。
(まさかキャラ持ち?
…日奈森さん、が……?)
星歌の丸い目が微かに開かれた。
日奈森あむ。転校してきてから然程経っていないが、そのクールキャラで瞬く間に人気を博した人物だ。
確かに、しゅごキャラを持っていそうな濃いキャラだが、今までそんな気配はなかった。
唯世も気付いたようで、校舎に入ろうとしている少女―あむの肩を掴んだ。

「あの…えっと…。
キミ、もしかして…。」
あむは顔を赤くして
「は!?」
と言ったが、周りのざわめきに我に返ったのか、唯世の手を振り払った。
「用もないのに気安く触らないでくれる。
おちびさん。」
その顔は、先ほどの赤い顔の欠片も無かった。
辺りからは
「おおーっ。」
と(主に男子から)歓声が上がったり、
「何あいつっ」
と(主に女子から)苛立ったような声が上がったりしていた。
「あ…ごめん…。」
唯世は反射的に謝った。
そんな唯世を、あむはウザそうに一瞥してから背を向けて歩いていった。

「もしかして、あの子…。」
なでしこが声を上げ、
唯世がそれに答えた。
「うん…。多分、まだたまごだと思うけど。
あの子、キャラ持ちだ。」
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