十四支

□3
2ページ/3ページ

だっ、だめです。そんな、反対です!!」
「反対って…あ、部屋にカギ付いてるよ?」
「そっ、そういう事ではなく!!
何と言うか…っ!」

すると、背後から変態…基紫呉が現れる。
「透君って家事好き?」
「ひゃっ!!」
「例えば、料理とか。」
「えと…はい、好きです、…けど?」
「透、私なんかより上手いから。」
音流が笑顔で言えば、透は目を見開いた。
「なっ、何言ってるんですか!?音流ちゃん!?」
音流の言葉に、紫呉は笑みを深くした。
「いらっしゃい、草摩家へ!!」
…本心はこうである。
―音流ちゃんって、結構夜居なかったりするんだよなぁ…。
この子が居てくれれば、音流ちゃんが居ない時でも
態々外食する事も無くなる…。

…最低である。
「部屋閉め切ってるから窓開けて…。
あ、家のカギ、スペア作んないと。
音流ちゃん、服の着替え貸してあげなさいね。」
「勿論。」
本人の意思に関係なく進められていく事態に、
透は焦っていた。
「そんな…だめです、絶対!!
看護までしてもらった上に部屋までなんて迷惑かけすぎて…「本田さん。」」
透の言葉を遮った由希は、微笑んでいった。
「こっちが勝手に言い出してる事なんだから、
迷惑なんて言わないで甘えてよ。」
「そっ!」
「それに行くアテもないだろ?」
「……。」
見事に言い包められる透。
更に、透に追い討ちがかけられる。
「…ねぇ、透。
私ね、もう透に無理なんてしてほしくないのよ。
…だから……これはお願い。
ここに、泊まって?」
親友、それも音流に困ったように微笑まれては、
どうすることもできなくなる。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ