十四支

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丁度その時、戸が開いた。
「どもーっ、ちょっぱや亭でーすっ。
草摩さーん?」
「はーい。」
固まっている透を気にかけながらも取り敢えず階段を下りた。
「いつもありがとうございます。」
ニッコリ笑って言うと、青年は少し顔を赤くしながらいえ、と返した。
「千六百円になります。」
「あ…はい。どうぞ。」
その辺に置いてあった紫呉の財布(いや、持っとけよ)を見つけてお金を渡すと、
青年は帰っていった。

「さて…と。」
もう一度二階へ上がろう、と腰を上げると、
すごい勢いで降りてくる音が聞こえた。
「音流ちゃんっ!!皆さんが…っ!!」
三“人”が抱きかかえられているのを見て、
クスリと笑った音流は、“紫呉”に視線をやった。
どうするの、という意味を込めて。

すると、猫が叫んだ。
あ゛−!!
おまえらまでなっちまったら言い訳きかねぇじゃねーか!!」
「先にドジ踏んだのはお前だろ、バカ猫。」
「あんただけでも言い訳きかないでしょ。」
呆れたように言う音流にぐっと詰まる猫。
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