十四支

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すると、紫呉が静かに、と言うかのように一つ吠えた。
「…仕方ないね。
下手に隠すより話してしまおう。」
その言葉に、音流はピクリと反応した。
それに気付いたであろう紫呉は、何も言わずに続けた。
「つまりね、僕は犬、由希君は鼠、彼―草摩夾には猫、そして―音流ちゃんには、神の遣いとされる狐の、
―物の怪が憑いてるんだ。
そして草摩にはあと10人憑かれてる者がいる。
牛・虎・兎・竜・蛇・馬・羊・猿・鳥に猪…。
そう…十二支と同じさ。
草摩家の人間は、もう何百年も昔から、十二支と同じ十二…否、十四の物の怪に憑かれてるのさ。
…といっても、何か特別すごい力がある訳じゃないけどね。
まあ各々の動物と意思が伝わるとか、体が弱ったり、何故か異性に抱きつかれると変身してしまうぐらいで。
時間がたてば、勝手に人間に戻るんだ。
―素っ裸だけど。」
タイミングが良いのか悪いのか、
紫呉がそう言った途端同時に戻った三人に、透は悲鳴を上げ、
音流は顔を背けて三人に服を渡していた。
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