十四支

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我慢できなくなった夾が大きな音を立てて席を立つと、1人が腕に絡みつく。
「…っ⁉︎」
平然と見ていた音流も流石に目を見開いたが、夾は顔を青ざめさせて技を決めた。
「きょ…っ」
透が声をかけようとしたが、女たちにかき消された。
一斉に騒がしくなったところで、夾が窓に足をかける。
「何やってるの…」
呆れたように小さく呟くが、届くはずもなく。
夾はそのまま飛び降りた。

軽やかに降りてそのまま走り出す夾を見た女たちは、一段と騒がしくなった。
そして由希が不機嫌そうに出て行く。
片側だけを縦ロールにした透はどうやったのか元の髪型に戻し、由希の後を追う。
それを見届けた音流は
「彼、ああ見えて人見知りなので慣れるまでは放っておいてあげて下さい。」
と、未だに騒いでいた女たちに声をかけた。
"従弟"の音流の言葉は無視できないようで、返事をすると自分たちの教室へと帰っていった。
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