taibani novel
□はじまりは?
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深夜の1時過ぎ。
いつものように部屋のPCに向かってウロボロスの手がかりを調べていた僕は、そろそろ睡眠を取ろうと立ち上がった。
その時、腕にしていた緊急連絡用のリングが光りcallの文字が浮かぶ。
(事件か…?)
通話ボタンを押すと聞き慣れた声が響く。
「バニー!助けてくれ!!」
「…あなたですか。またふざけてるんですか?」
「違うって!ホントにマジでやばいんだって!!」
「今何時だと思ってるんですか?あなたにつきあってたら明日の仕事に支障をきたしますので。」
僕はそう答えると有無を言わさず通話ボタンをオフにした。
「まったく、なんなんだ…。」もう僕に構わないでほしい。
両親が殺され一人で生きてきた僕は出来るだけ他人とは関わりたくなかった。
それをいきなりあんなおじさんとコンビを組まされたのだ。
未だに古臭いヒーロー思考。
何もかもに甘いあんな相手では、足手まといになる事は解りきっていた。
馴れ馴れしくお節介まで焼いてくる。
本当にうっとうしくて仕方がない。
実際に彼とは上手くいってなかった。
すぐに寝てしまおうとベッドに腰掛ける。
前回の同じような悪ふざけをされた時、実際に窃盗犯がいたことが思い出された。
横になっても気になって、リングのGPS機能でおじさんの居場所を探ってみる。
「ここは…倉庫か?」
地図上に浮かぶ印はその場所から動かない。
こんな時間にこんな場所に居るのは何らかの事件に巻き込まれたのではと思う。
だが、いくら事件とはいえヒーローTVからの連絡もなしに行動したってポイントはつかない。
何のメリットなどないのだ。