頂文

□花火様より(もきすだ誕生日祝い)
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「監督って、女の人に尻を敷かれるタイプでしょ?」
稲妻KFCの練習が終わり、まこと共に帰っていた半田はまこの突然の発言に驚きを隠せずにいた。
「ちょっと待て。俺ってやっぱりそんな風に見える?」
「うん。前から思ってたけど、人から聞いたら尚更そう思ってさ」
「ちなみに誰から?」
「円堂ちゃん」
まこから円堂の名前が出た時に半田は深い溜め息をついた。
つい最近、久々に円堂と再開して近くの居酒屋に飲みに行った事がある。
久々の再開で二人は昔話に盛り上がっていた時に、ふと円堂が発した事がまこと冒頭に発した言葉だった。
『なぁ、半田って女性に尻敷かれるタイプだろ?』
あの時はちょうどお酒が回ってほろ酔い状態になった半田もさすがに酔いは冷めた。
まさか、円堂からそのような発言が出るとは思わなかったのが本音である。
それから半田はあれから一滴も飲む事は出来なかったのだが。
「なぁ、まこ」
「何?」
「女性に尻敷かれる男性ってどう思う?」
「うーん…。意外と物好きは監督みたいな人は好きかもしれないかもしれないよ?」
「それ、一応フォローのつもりなんだよな?」
サラリと興味無さげに話すまこに半田は再び溜め息をつく。
今までを振り返れば、確かに女性からの頼みなどは断った事は一度もない。
鬼道や松野からはよくそう言われていたが、今思えば円堂もあの頃からよく見ていただろう。
だから、再開した時にポツリと言ったのだろう。
「女性に優しいのもいいけど、度が過ぎると尻敷かれるのよ」
「それって、お人好しの間違いじゃないのか?」
「監督ってそれに対して鈍感だから嫌になっちゃう…。それじゃ、何時まで経っても円堂ちゃんみたいに結婚出来ないわよ」
「なぁ、最近の学生って何でこんなに厳しい発言が飛び出すわけ?結構、傷つくんだけど?」
そう言ってかなり肩を落とす半田にまこは声をかけた。
「ねぇ、監督」
「何?」
「もし、監督に嫁ぎに来る人がいなかったら、その時は私が監督をお婿さんに貰ってあげるね」
「…は?」
本日二回目のまこの突然の発言に半田は思わず間抜けな声を出す。
まこはクスクスと笑うと、半田の一歩先を歩き始める。
「大人をからかったらいけないんだぞ」
「だって監督、普段の態度見てると私よりも年上には見えないんだもん」
「これは今から少しずつ改善していくんだよ。それより、さっき言った事って冗談だよな?」
「さぁ、どうでしょ?監督のお嫁さん候補に私を入れてもいいからね。私の家もうすぐだから、また明日ね、監督」
そう言ってスキップしながら帰って行くまこを見送る半田は暫くその場に突っ立ていた。
普段から半田には手厳しいまこだが、今日みたいにあんな突拍子もない発言は心臓に悪い。
「ってか、冗談だとしてもタチが悪すぎるだろ…」
そう呟いた半田は顔をフルフルと横に振った後に帰路を進めた。
とりあえず、まこをお嫁さん候補に入れておこうと脳内にインプットしたのは言うまでもない。


いざとなったら貰ってあげる
(鈍感な監督に気付いて貰うためにも積極的にアピールしなきゃ)

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