哀愁

□擁葉 
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くそ、翠め。見てろ・・・
今そうじゃないこと、思い知らせてやる・・・



僕は、再び、犯罪に手を染める―
・・・









 「おい、千秋といったな?」
僕は隣にいる千秋に話しかける。
千秋は数人の女子とジェスチャーで話をしている最中だった。

翠が僕の後ろで焦る素振りを見せる。

「おい・・・愁人。お前・・また・・?」

僕は耳を貸さなかった。心の中でどんなに”僕が”やめろと言っても。




「お前、また俺の目の前に現れやがったな?」

千秋が僕の方を、振り向く。
その動作がいやにスローモーションに映る・・・・


彼女は僕を疑問の目で見つめた。
僕は、一瞬、たじろく。

もし、このまま僕を出せばきっと彼女の瞳にあの時の彼女の軽烈とした、憮然とした、尚且つ僕を僕じゃなく見る瞳を見出してしまうだろう・・・

そうなれば二度と彼女はもう”元には戻れなくなってしまう”がゆえに、更に大きな傷が僕らを貫くに違いない。

また、彼女に対して僕が再び手を出すならば、再び僕の手には血まみれの抉れるような気分を刻まなければならない・・・即ち、僕にとっても、千秋にとっても善し悪しにならない。

大きく再び僕らを地の底に蹴落とされるような気分をもう一度味あわなければならない・・・


僕は、昔彼女に謝らなければいかなかった。でも、今謝ったとて、許されることではなかった


どうすればいい・・?
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