一章: 過去に苦しむ正義達

□UMPIRE12 宣戦布告
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俺は、ガランデ。

自由を手にして空を駆け巡る。

気がついたとき、俺は白いベットの上で寝ていた。

白いベットに調和するかの如く、部屋も何もかも全てが白い。

その中で俺はそっとその狭い部屋から通路にでようとした。

しかし、突如俺の前に現れた女科学者に突進され、再び室内に戻された。

「もう少し休んでなさいよ。−・・落ちつかないなぁ。」

「悪かったな。休むのが嫌いでね。」

女科学者は俺の顔をまじまじと見詰めていた。

「本当変わっちゃったね。あんた。」

そんな事言われても・・

俺は俯いた。

「ああ、ごめん!悪かった。そうだ―・・が呼んでたよ。」

「―・・が?」

俺は彼女をどかして通路に再び出た。

薄汚い黒の通路を掛けぬけ、目指す科学者の元へと向かう。




「相変わらずちょろちょろしてるなぁ」

甲高い笑い声。

その科学者は俺の傍に来るなりおもいっきり背中を叩いてきた。

痛い―・・。痛いよ、あんた。

「見ろよ!これ。あんたにプレゼントだよ。ほらよっっと。」


俺から大分離れたところから何かデカブツが姿を表す。

銀色の円盤。その一言で収まる戦機を目にした俺はこれを用意してくれた科学者を不思議そうに見つめた。

「これは”メヂューサ004”っつう機体だ。お前にやるよ。」


どうして俺に―・・?

今思うとやけに科学者皆優しかったのは、一体なんだったんだろう。

「いいからさ、これからは―・・幸せになれよ。何もかも思い出そうとせずに・・」

これから?

何も思い出すな?

そんな事言われると無償に”自分”が知りたくなるのが人間の咎というもの。

悪いが俺は”俺が”知りたい。

付けた仮面を外して自分の顔を観察しようとした。

なんせ目が覚めてから自分の顔を見ていないんだ。

でも先ほどの白い部屋に戻り、洗面器場にて仮面を外そうと心みたが、外せなかった。

いや、外すことが出来なかった。


どうして?そこまで自分を知ってはいけないのか。

俺はとりあえずまた銀の円盤”メヂューサ004”の元に戻った。


その傍にはまたもや先ほどの科学者が―・・。暇人か?

「おお?!もう出発か?」

「出発しちゃ悪いか?」

仮面が取り外せなくて多少俺はイライラしていた。

「いやいや、つか、随分皮肉屋だな。」

俺は”メヂューサ004”の傍に立ち、ハッチ口の形のある扉を見つけると、その近くにあるボタンを押した。−・・するとハッチ口が凄まじい機械音と共にガコンと開く。

円形型のハッチ口扉であった。

「悪かったな。」

颯爽と黒いローブを翻し、ずんずんと機体を眺めた。

以外と狭い。一人か二人分の量の機体だ。

複雑な導線とプログラムが銀色上に統一されていて複雑な壁模様を描いている。

”変”だ―・・

俺は迷わず戦機の中核、もしくは操作室へと辿り付く。

”初めて―・・来た気がしない。”

とりあえず並ぶプログラムと操作パネルがあった。違和感があったが適当にパネルを叩いていたら急にエンジン音が鳴り、機体が揺れた。

「うぉ?!」

天井から巨大な画面パネルが現れ、外にいる科学者が手を振っていた。

『元気でな〜!』

「あぁ。って―・・?!」

”メヂューサ004”は突如回転し出すと先ほどの科学者が開けてくれたのか空が見えた。

薄汚い灰色の空。

その中を颯爽と凄いスピードで”メヂューサ004”は空を駆け巡った。




それからの記憶はまばらだ。


あまり―・・覚えていない。

ただ、自分はその”メヂューサ004”にて内臓されていた情報を元に世界の意図を掴む事が出来た。

テロ組織と政府国家軍との戦争。

人類再建組織の設立―・・

世界の情勢が分かった俺はとりあえず”なんでも屋”で生きることを決めた。

”なんでも屋”
それは頼まれた任務をこなし、報酬を得ること。


俺はそれから世界を点々と歩いた。
点々と―・・

まさかあの”出逢い”で思い出すなんて、夢にも思わなかったんだ―・・
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