一章: 過去に苦しむ正義達
□UMPIRE7 謎の襲撃者
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いつか私を”アレス”として―・・見てくれますか―・・?
「うぉ!・・・ナンだ?あれ。」
赤い切れ長の丸い瞳が驚きに瞬いた。
緑色の綺麗なつんつんとした短い髪が彼の動作と合わせてさらさら揺れ動いた・・・。
綺麗な顔とは対照的な全身黒ずくめの男は目の前に広がる銀色の円盤に見とれた。
「”何があったのだ?・・・フレイ。”」
彼の両耳についた小型通信機から少年ロボットの声が漏れる。
フレイは笑顔で答えた。
「目の前で宇宙人がやってきたのだよ!!・・アポポちゃん!」
「ヘラ様・・・?」
ふと振り向いた途端、目の前に神々しい白く輝いたペガサスが現れた―・・
綺麗な絶対の汚物を寄せ付けないような、仕切りを押さえつけたかのような光輝く中で、ふっさりとした柔らかそうな大きい翼が羽ばたいた。
茶色の長い髪を後ろに跳ね除けたヘラはその創造を絶するものに暫し目を奪われた―・・。
そしてそれはヘラに対して、彼女に対して”拒まれない”ようにその姿でいることに初めて気づく。
”アレス”
ヘラは人間の姿の彼が苦手であった。即ち彼を拒んでいるのである。・・・・それは彼女の過去と連動しているからに過ぎなかった。
アレスの人間の姿は、自分の恋人だったカズヤと瓜二つだった。
違うことは承知していたが、意識すれば意識をするほど余計に意識は引きずり込まれる。
勝手に心が・・・・惹かれていく・・・。
そのたびにヘラは過去に犯した残酷を思い出し、”光”を思い出していた・・・。
そうしなければ身がもたない。
もしも、自分の気持ちにブレーキが利かなかったら・・・
ヘラは高揚と混乱と恐怖の中で意識を循環させ、苦しんでいた。
しかし、目の前に広がるは神々しい領域。
周りのものが良く見えないほどのまばゆい輝き。
ヘラは、目がくらんだ―・・。