哀愁
□擁葉
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それは紅葉が、咲き乱れる、頃。
夕日が異様に青い空に似合う化粧となる頃・・・・
「彼女は佐々木千秋さん。皆さん仲良くしてやってね・・・」
細野担任のぶっきらぼうな、声が僕の耳に残る・・・
秋、再び―・・・
「じゃあ、国前君の隣だから
、席。」
簡潔に案内したのが僕の隣だった
。すなわち、僕の苗字は国前である。
千秋は僕の隣におぞおぞ座った。僕は心がずきりと痛んだ・・・
彼女は僕をちらりと見た。心臓がいやにばくばくした・・・
しかし・・・
彼女はただ、僕に頭を下げたっきり、僕を見向きもしなかった。
彼女は、僕があの時の僕だと、まるで気づかないように―・・
僕の心がまた、痛む―・・
と同時に、あの頃のイラつきが再び僕を襲った―・・