哀愁
□秋の、終わり
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秋。―僕は秋という季節が好きだった・・・
何故かって?―・・・それはねぇ・・・
遅く来るけれど、早く終わる・・・それに、生命の終わりでもあり、はじまりにも値する。―・・・それが、秋。すっと、入り込んで、儚く、散る。僕はそんな紅い秋が好きだった。今はって・・・?今は嫌いさ。何故かって?それはねぇ・・・
秋は君そのままだったから。・・
いつの間にか秋は、僕の中の秋は
君そのままだったから。
君がいるから秋があった。
君のいない秋はなかった・・・
少なくとも・・・僕の中では・・
「実は佐々木は今日限りで転校することになったんだ。」
僕に衝撃が、走る。
全神経が、僕を焼け焦がす・・・
「そんな・・・」
僕はせわしなく辺りを見回した。
そんな事は、無駄だと知っていながら。
悲しみと、苦しみが、甘い残酷な糸に絡みつく。
それが僕の首元を強く締め上げ、苦しめる・・・
これが、最後?
これでもう終わり?
僕はまた選択を間違えたのだろうか?
これならすぐあの場で振ってくれれば良かったのに、なぜそれをしなかった?
僕が哀愁だと気づいて、動揺したせいか?
突拍子もなしに僕が急に謝ったせいか?
千秋―・・・
僕は我を忘れて走っていた。
何も、分からない。
ただ、乾いた木々が、僕に道を閉ざそうとするかのごとく、互いに揺すりあっている・・・・
それだけは・・・気づいた・・・
僕は家に帰った。
なぜだか分からない。母は僕を見てびっくりしている。
そんな母を僕は無視して、自分の部屋へと駆け上がる。
そして、なぜだか無意識にパソコンのスイッチを入れる―・・