哀愁
□秋、来る
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秋。僕は秋という季節が好きだった・・・
何故かって?―・・・それはねぇ・・・
遅く来るけれど、早く終わる・・・それに、生命の終わりでもあり、はじまりにも値する
それが、秋。すっと、入り込んで、儚く、散る。僕はそんな紅い秋が好きだった・・・
今はって・・・?今は嫌いさ。何故かって?それはねぇ・・・
小学校の僕はものさみしい落ち葉の広場で大きく、足でけなげな、枯れた葉っぱを踏んでいた。
僕は、ニタリとする。
「秋が来た〜秋が来た〜・・・どこに来た〜?」
僕のおばあちゃんちの辺りに存在する、憩の広場。―・・・僕はそんなところでひとりで歌い、ひとりで遊んでいた。
白い息が僕の周りを蝶のように舞う中、寂しげな炎が僕の足元で、ちらちらとその紅い胴体を覗かせていた。
―・・・僕はその乾ききった葉っぱを蹴りながら、歌っていた。
いつの間にか白い道路が、目に入った。
赤と緑と茶の入り混じった林を抜けようと足を動かそうとしたが、皐月のバス停に、一人の、白い少女がいるのを見つけた。
僕はニタリと笑い、少女に近い林から、急に飛び出して少女を驚かした。
少女は去って行く。
僕はその様子を見てゲラゲラ笑った。
少女は、白かった。透き通るような、白さだった。