天国へのSong
□1・song 事件発生
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でも、もうこれで最期にするから。
でも、この最期のせいで全てを失うのは怖かった。
私は何か選択を間違ったのかな?
異変に気づいたのは今から三ヶ月前だった。
私が歌手デビューしたのは極最近。
なのに爆発的にヒットし、歌手界には「日本の天使の歌姫」とか「東洋の天使」とかとか・・・
まぁ呼ばれて有名になったもの。
ファンからは天使のような歌声に感動!とか・・評判は良かった。
洪水のような忙しい日々が続き、休むまもなくバラエティー番組の出演も余儀なくされ、ライブ、公演・・・
仕事は別に多くても良かった。
休めなくても、苦しくても。
歌う仕事が出来るのなら・・・
しかし、その三ヶ月前、急に声が出なくなった。
可笑しいと思って医者に夫の康夫と共に検査を受け、結果を聞きに行った・・・
その時、衝撃の病名が私の脳を抉った。
「咽頭がんですね。それもかなり成長しています。」
私は頭の中がショックで何も考えられなくなった。
「歌を歌うことはあきらめた方が宜しいかと。」
それから何度、泣いたことか。
数知れない。康夫はそんな私を慰めてくれたが、内心では康夫も苦しんでいたに違いなかった。
「手術を至急しなければ命に関わります・・。至急ご決断を。」
私はその時わなわなしながら聞いた。
「手術をすれば、また歌えるんですか・・?」
しかし、帰ってきた答えは無常なものだった。
「もう・・歌うことは出来ないでしょう・・・。」