哀愁

□擁葉 
2ページ/9ページ





 彼女は前より一層白くなっていた。
この数年間ちゃんと学校行ったのだろうか?
友達はできただろうか?

あの頃、僕は彼女の一部分の人生を、滅茶苦茶にした。
今もなお、彼女の心にその苦しみは残っているに違いない・・・

しかし、今、彼女はそれを乗り越え、僕の前に存在することを思い知らされた・・


彼女はいきいきしていた。口がきけないが、一生懸命友達を作ろうと頑張っていた。

その姿が輝かしかった。美しかった・・・僕は次第に自分のイラつきが増大していることに気がついた・・・


どうして、僕はこんなに彼女に対して腹が立つんだろう・・?


しかも、僕は彼女が気がかりなはずなのに、未だに話しかけられずに居た―・・・






「おい、愁人。・・・どうしたんだよ?お前・・・ずっとあいつばかり見て・・」

いつの間に翠が僕の斜め左に居た

僕はびっくりしていた。

「あいつ・・・あの時の白血病じゃん?・・・お前、あいつのこと
好きになちゃったわけ?」

突然の翠の言葉に僕はかっとした




「そんなんじゃ、ねぇっての!!

僕は急に顔が熱くなった。と、同時に、怒りが僕を襲った―・・
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ