哀愁
□枯葉
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蓮の笑う音がした。
「ほらー。言っただろ?愁人は今まで通りだって!」
翠の謝る音がした。
「ごめんね。愁人。・・疑ったりして・・・でも・・」
彼は空ろな僕の心に棘を刺した。
これで・・・良かったの?
この・・方法しか・・なかったの
?
もっと他に、何か、取り返せるような方法があったんじゃないの・・・・?
翠。・・・どんなに僕が辛かったか、分かるか?
お前なら、僕の気持ちが分かるというのか?
いや、きっと分かるはずがない。
分かってくれるはずもない。
この苦しみが分かるのは僕である
”僕”でしか分からない・・・
僕がどんなにあの場所であの空間で、どんなことをしたかったか翠
、お前は分かるだろうか?
泣いて、あらん限り叫んで。
僕は赤ん坊のように泣き叫びたかった。
それに彼女に縋り付いていままでのこともまるきり謝りたかった。
蓮たちがもし、この教室に来なかったら、もしも来る前に彼女が咲きに教室に入ってきていたら、
今までのことを謝るつもりだった
。
今までのことを・・・これからのことを・・
そして・・・僕の本当の、気持ちを・・・君に・・・
何度泣いたことだろう。僕の心の中は暗黙の豪雨という場所と化してしまった。
何度苦しめばいいのだろう。僕はただ、普通に、普通の人のように
恋愛がしたいだけだった・・・
なのに