□tutorial 〜雪山の肉食鳥竜〜
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遠目にギアノスを見つけ、そこで足を止めて身を屈める。
鐘氷洞とでも言うべきか。厚い氷に覆われた洞窟内を進み、崖を登った直後の事だった。それまで狭かった洞窟が急に開け、だだっ広い空洞になっている。しかし、通路に出来そうな足場は少なく、壁沿いに申し訳程度にある位だ。残りは険しいく深い崖になっていて、眼下に暗闇が何処までも広がって、気温以上の寒気を感じさせてくれている。
狭い通路はなだらかな坂になっていて、上の方にギアノスが三頭陣取り、更にその後ろが洞窟の出口になっているようだ。

竜盤目。鳥脚亜目。走竜下目。ギアノス科。二足歩行型の小型肉食竜で、白と水色の鱗の、綺麗な体躯をしたギアノス。警戒な動きと口から吐く氷液で、獲物を追い詰めると言う。
3頭のうち1頭が、こちらを振り向いて甲高い鳴き声を上げる。どうやら気が付かれたようだ。

「いいウォーミングアップになりそうだな。行くぞ!」

「行きます!」

先生が扱う武器は大剣だ。向かってくるギアノスに正面から突っ込んでいき、勢いのまま背負った大剣を掴んで抜刀。そのまま振り下ろす!
重い一撃がギアノスのを襲い、衝撃に負けて悲鳴を上げながら後方へ吹き飛んで行く。
その間にオレは、遅れてこちらに向かってくる残り2頭に狙いを定めて走っていた。
間合いに入った、と思うや片手剣【ボーンククリ】を抜刀、強く地面を踏み込んで、跳躍しながら斬りかかる!

しかし、ターゲットにしたギアノスは突然足を止めて大きくサイドステップ。攻撃範囲から逃げられてしまう。

「つっ!」

斬撃が空を斬って着地、逃げたギアノスを追って剣を振り上げようとした、その時だ。
突然、鳥類に似ているものの細かい牙が並ぶクチバシを開け、両の爪を振りかざしたもう1頭のギアノスが視界一杯に迫り来る!
「うわっ!」

避けるどころか反応する事が出来なくて、ダメージと一緒によろめいてしまう。そこへ更に、俺の初撃を避けた奴が続いて爪を振り下ろそうとする。側転で回避を…って、動けない!

連続のダメージを覚悟する…が。襲って来たのはギアノスの爪牙ではなく悲鳴だった。

目の前スレスレに振り下ろされて、地面をえぐっている大剣と、吹き飛ばされていくモンスター。
先生が先程と同じ要領で攻撃を仕掛け、助けてくれたようだ。

「ありが「敵から目を逸らすな!」

言おうとした礼を遮られて、思わず硬直してしまう。
その様に先生は一瞥もくれる事無く、吹き飛ばしたギアノスに向かって、大剣を持ったまま器用に前転。一息に距離を詰めて正眼に構え直すと、今度は横凪の一閃!
立ち上がろうとしていたギアノスに直撃させて吹き飛ばし、壁際へと追い詰める。

「トドメだ!」

「ハッ、ハイ!」
俺に向けられた合図に我に返り、追い詰められたギアノスの元に急いで駆け付けて、ボーンククリを振り下ろす。

一撃、二撃、盾で殴りつけて更にもう一撃。連続攻撃によろめく相手に僅かな間を空け、回転しながら横一文字に渾身の力で振り抜く!

回転斬りがヒットした時だ。
ギアノスが悲鳴と血飛沫を上げながら倒れ、弱々しい鳴き声を上げて動かなくなった。

「ハッ……ハッ……ハァ……」

「うーむ。やはりまだ早かったかな?」
声に振り返ると、豪快に大剣を振り上げて背中に納刀した先生が顎に手を当てて唸っていた。
足下には二頭の力尽きたギアノスが横たわっている。
この位のモンスター相手に息を切らせていたらまずいのかなぁ…やっぱり。
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