S.S. Dream

□癖
1ページ/1ページ

外は明るく良い天気だというのになまえとセブルスの二人は図書室にこもっていた。

書棚と書棚の間。
自分の左右に本を積み上げ、二人は向かい合う形で机に座っていた。

お互いに何か話すわけでもなく、ただ同じ空間にいるだけ。
それが、二人の恋愛の形だったのだ。

ふとセブルスは本から視線を外し、恋人に向ける。

彼女は左手の親指の爪をかじりながら本に集中していた。

「…おい、それ、みっともないからやめたほうがいいぞ」

「ん、あ…え、何?どれ?」

「それ。爪、かじってたろ」

つい、と彼女の親指を指した。
彼女は爪を見て、あぁと声をあげる。

「私、爪かじってた?なんか、癖ついちゃったみたいで…集中したときとか、無意識にやっちゃうんだよね」

あはは、と笑うなまえ。

セブルスはそんな彼女の左手にするりと自分の右手を絡ませる。

驚いた彼女は変な声をあげた。

「…それの原因って、手元が寂しいせい?」

それとも…と机からおり、彼女の顔にぐいと近付き、妖しく微笑む。

「口元が、寂しいせい?」

ちゅ、と小さく口付けるとかぁっと彼女の顔が火を噴いた。

「や、やだ、ちょっと、何するのよ、こんなところで!」

「誘ってるのかと思って。」

「ばか!」

「男はばかなんだよ。…続きはしちゃだめ?」

子犬のような可愛らしい顔でのぞきこむ。

「…っ、ばか」

なまえはきゅっとセブルスを抱きしめる。

「そんなの、わかってるくせに」

「ん…じゃ、寮に戻ろうか」




心をくすぐる可愛い





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ