S.S. Dream
□どうせ解ってない
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僕が付き合ってるのは獅寮の女生徒。
同学年で、成績も良好で、人柄もよくて…
こういう表現をしたら彼女は怒るんだけど、僕とは釣り合わないくらい素敵な人。
付き合い始めたころに彼女にそう言ったら『釣り合うとか、釣り合わないとかそういうのは嫌い』と一喝された。
図書室に向かうために廊下を一人で歩いていると、向かい側から彼女が歩いてくるのが見えた。
声をかけて駆け寄ろうかと思ったが、思いとどまった。
彼女が一人じゃなかったから。
ポッターたちと一緒だったから。
楽しそうに笑いあいながらこちらに向かって歩いてくる。
僕は俯きがちに止めた足を運んだ。
「あら、セブルス!」
できれば何も言葉を交わさずに通り過ぎたかったが、彼女が僕に気付いて声をかけてきた。
駆けてきたのでちょっとだけ顔をあげて、「やぁ」と返事をする。
「もしかして、今から図書室に行くの?」
「…うん、そのつもりだけど」
彼女の後ろで立ち止まっているポッターたちを見ると、面白いものをみるようにニヤニヤとしている。
なんて気分を悪くさせる奴らなんだろう。
なんでなまえもこんな奴らと一緒にいるのか訳が解らない。
「ちょっと、聞いてるの?」
すっかり彼女から意識を外していた僕を一気に引き戻す。
僕と同じ、黒い瞳が僕をとらえる。
「私も一緒に図書室行ってもいい?」
「え、あ、別に、いいけど」
あいつらはいいの?と小さく訊ねると、なまえは「全然大丈夫よ」と笑顔で答えた。
そして奴らに振り返り、図書室に行く旨を伝える。
「なまえ、やめといたほうがいいと思うぜ?スニベルスと二人っきりなんて、何されるか解らないし」
「そうそう、変な呪いとかかけられっかも」
面白おかしそうにニヤニヤしながらポッターとブラックが言う。
怒ったようになまえが二人の頭を殴る。
そして僕の手を引いて図書室まで早足で向かった。