S.S. Dream

□意味を
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「せーんせ」

魔法薬学の授業を終え、生徒たちがそそくさと出ていった後の教室。

なまえはスネイプと二人になるためわざと残っていた。

「何かね、授業は終わったのだから君も出て行ってはどうだろう」

彼の辛辣な言葉に臆することもなくなった。

日常茶飯事だから。

背を向けて授業の片付けをするスネイプを、なまえは席につきながら眺める。

「ねぇ、先生」

「だから、何か、と言っているだろう」

「私ね、昨日、小説を読んだんですよ」

「そうか」

「その中に”僕は父や母、兄やこの恋人に愛されるために生まれてきたのだ”って一節がありまして」

「そうか」

「私の生きる意味ってなんだと思います?」

なまえの質問に、スネイプは黙った。

「私に生きる意味ってあると思います?」

質問を変えた。

スネイプはまだ黙っている。

「意味がなければ生きていく理由を見出せなくて」

そう付け足すと、スネイプは背を向けたまま鼻で「ふん」と笑う。

「君の生きる意味など、簡単だ。我輩に愛され、我輩を愛するために君は生まれ、此処にいる」

くるりとなまえのほうを向き、口元を釣り上げて笑顔をつくる。

「違うかね?」

そうしてから、また背を向けて片付けの続きをする。

なまえはガタンと席から立ち上がり、スネイプの背中に抱きついた。

スネイプは突然の行為に足のふんばりがきかず、体勢が少々崩れた。

「先生、先生、大好きよ!」

なまえがそういうと、呆れたようにスネイプはまた笑った。

「だから、それが君の生きる意味だろう」












私に生きる意味をちょうだい








貴方を愛させて

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