人の血 鬼の血
□第1章 花ハ燃ユル
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「おらァ 待てえぇ!」
「神妙にお縄につきやがれィ」
一面夕日の光につつまれ
緋色に染まった不気味な路地に、声が飛ぶ。
チッしぶとい野郎共でィ、また路地裏に入って行きやがった。
「土方さーん、ここは二手に分かれた方が賢明じゃねぇですかィ」
「それもそうだな…」
「俺が逃げてる間にアンタは囮になって下せェ。
心配いりやせん、すべて俺に任せて下さい」
「なァにが任せて下さいだまるっきり俺が任されてんだろそれ!」
下らないことを言ってる間に、二人はY字路にさしかかる。
「さて…敵さんはどっちだァ?」
「俺こっち行きやす。
頼みますぜ土方さん」
「てめぇこそ頼むよホント」
―――そう―――
運命の歯車は、このとき既に廻りはじめていたんだ――
何と無く選んだこの道が、この先の俺の未来とあいつへと、
瀬川、お前に繋がる
奇跡の道だったことを、俺はまだ知らない。