人の血 鬼の血

□第4章 メグル出会イ
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昼下がりの団子屋で、俺たちはしばらく団子を食いながら他愛もない会話を続けていた。



「……そういやあんた、どこに住んでるんですかィ?」

「え…?」



途端に、千鶴は表情を硬くした。


「いや、いやならいーんだけど。気になって」



まただ。

俺は先刻からどうにも気になっていることがあった。


どうでもいいことはポンポンと返事をしてくれるのだが、千鶴自身のことや家族のことを尋ねると、どういうわけか困ったような顔をするのだった。


別にそこまでして彼女の生活を知りたいわけではないのだが、こうなると少し気になってしまう。



…なにか、話したくないことがあるのだろうか。



「…………」


「なんか、どこ町に住んでるとか…ないのか」


すると千鶴は顔を上げ、意外そうに言った。



「あ、そういうことか
えっとね、かぶき町のはじっこ」


へぇ。

万事屋の旦那んとこと近いじゃねーか。



「かぶき町ですかィ、あそこもいろいろ厄介な町だよなぁ」

「…知ってるの…?」



俺の顔をのぞきこんで聞く千鶴の瞳に、警戒の色が宿っていた気がした。



「あぁ、ちょいと知り合いが。」


「そうなんだ」


にっこり笑う千鶴。

…あれ、気のせいか。いつもの綺麗な蘇芳色だ。



「隊長さん」
「あ?」

「一番隊だよね?真選組の」

「まあな」

「…剣、すっごい強いって聞いたのに、なんでいっつもバズーカ使うの?」


…なかなかマニアックなとこ聞いてくるな。


「うーん、大した意味はねえんだけどな…。
剣は接近しねーと使えねェだろ?

その点バズーカは遠距離からでも攻撃できまさァ」


攻撃しなくていいんだよと千鶴は苦笑いをした。


「そういう千鶴も強かったよなぁ?この前…」

「ま、まあね…」

「腰にさしてんの、刀だよな?」

「うん」

千鶴が引き抜いたのは、使い古した木刀だった。


「へぇ…木刀」

「うん。実は…」

「あああああサド!!
お前こんなとこで何してるアルかぁぁあ」



何かを切り出そうとした千鶴の声は、こんなとこでぜってー聞きたくねェバカでかい声によってかき消された。



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