人の血 鬼の血

□第8章 君ノ言葉
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あーあ…またやっちゃったよ。

目の前にはいつくばる浪士達と、背中に感じる驚きの視線にあたしはゴクリと息を呑んだ。

だって、おかしいよね。

年頃の女の子が こんなめちゃくちゃな戦いをして……


一体後ろから、どんな言葉が投げられるのだろう?

覚悟を決めつつあたしは身体を硬直させた。


「おい、そこの君」
「は、はい…」

恐る恐る振り返ると――

「怪我はないかい?」
「え?」


そこには、心配そうにあたしを見るゴリラっぽい男の人が立っていた。


「うんゴリラはないよね。
この状況でゴリラはないよね。」

「仕方ないアルよゴリラ。眼鏡の新八みたいなもんネ」

「すんません そこで僕を出すのやめてくれませんか」


……なんかまずかったか?ゴリラは禁句だったのかな。


「ったく、人の仕事とりやがってよ………」


声がしたので隣をみれば、瞳孔かっぴらきの男がタバコに点火している。


「誰が瞳孔かっぴらきだァァ!!」

「副長ォォ落ち着いて!」


激高した黒髪の男をなだめようとあわてめ後ろから出てきたのは………

男だった。


「そこは地味な隊士とか言うところだよね。それで俺がつっこむところだよね。

なんで男にした?
なんで当たり前のこと言った?」


神楽や銀ちゃんは そんなあたしと黒い制服の人達との会話を聞きながらげらげら笑ってたけど。

あたしは、なんだか信じられなくて。


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