ドロップ

□第9戦 馬鹿な自分
1ページ/3ページ




ガラガラ


沖田と別れたあたしが教室のドアを開けた瞬間、目の前の席に集まっていた人々が さぁーっと散っていった。



あぁ……また。




誰もいなくなった目の前の席で俯く女の子を見て、あたしはため息をついた。



「あ、おはよう花音ちゃん」



じっと見つめるあたしに気がついた彼女は、はりつけた笑顔を浮かべて挨拶をしてくる。

無理な笑顔で…。


「……おはよ」




不機嫌そうな声を出したあたしに、申し訳なさそうな顔で肩をすくめた。



「……この前は、ありがとうね」

「…別に。やりたかったからしただけだよ」

「でも、助かったから」





―――どうしてこの子は……

こんな風に、困ったように笑うんだろう。



しばらく見つめていたが、ふぅと息をついて自分の席に向かう。

そのとき。
背中にとんでもない言葉がかけられた。


「沖田君といたの?」


わたしは動揺を隠す間も無くずるりと体を傾ける。


「花音ちゃん!?」


足を滑らせたあたしに、慌てて駆け寄る。


「ど、どうしたの!?花音ちゃんが転ぶなんて…」

「な…なんで沖田を」

「よく来るでしょう?今日も一緒にいたのかなって」







今日も。

顔が熱くなるのがわかった。

何これ、なんでこんなに体がほてってんの?
意味わかんない。


それより、沖田と居るのを知られていた方が恥ずかった。

だって今日……抱きしめられたし……

再び、沖田に対する殺意が芽生えてきた。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ