ドロップ

□第13戦 君が見た真実
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外からでも聞こえる怒涛の攻撃の音と、叫び声。
はやる気持ちを抑えて、俺はゆっくりと中を覗いた。




まず目に飛び込んできたのは、

あれだけ一緒にいたのにも関わらず、初めてみる戦場を駆る花音の姿だった―――。


「っく、化け物がァ!」


ガシャン!
すごい音がして思わず目を瞑る。

目の前の窓ガラスに椅子が叩きつけられて、俺の口からひいっと小さな悲鳴が漏れた。

「人のケモノよかマシよ」

「貴様ぁ…っ、この女がどうなってもいいのか!」


一人の女が、近くにいた場違いな色の白い女子生徒の首ねっこを掴んだ。


あれァ……花音のクラスにいた、あの女じゃないかィ?

思わず飛び入りそうになったが――――

それより先に、動く影がゆれる。

「その子に手を出すな…!」




「…っ…花音…?」


黒い瞳の奥の 瞳孔をかっぴらかせて、渦巻く煙の中 髪をなびかせる花音は―――

そう、やっぱりそうなんでィ。
あいつは


ただの不良少女じゃねえんだ。
ただ―

「次あたしのものに手を出してみろ


――消す」

深い瞳が、不敵に光った。
動けない、動いてはいけない気がする。

奴の覚悟や心意気を今日こそ、きちんと確かめよう。


骨が軋む程拳を握りしめ。喉を鳴らして。
俺は気高いその闘いの顛末を、高潔なるその勇姿を陰でそっと見つめていた。


風紀委員失格だって言われてもいい。
俺は奴の戦いっぷりに見とれてたんだ。
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