ドロップ

□第18戦 開戦
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キーンコーンカーンコーン……

一日の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。

あくびをひとつ落としたところで、けだるそうな銀髪が教室に入ってきた。


「はいSHR始めるぞ〜席につけコノヤロー」

点呼を始める銀八。
『沖田』だからすぐに呼ばれてしまう。
返事をし終えると、俺の耳にはもう出欠をとる声は入ってこなかった。

脳裏に浮かぶのは、先日の『デレデレ』花音ちゃん。

デレデレっていうか、もうグダグダだった。

可愛かった。
もう何でもできる気がする。

今なら東京タワーにも登れる気がする。


「え〜そろそろ一学期も中間だなーつーわけでだ」

湿気の多い空気をかきまぜるようにうちわで仰ぐ銀八は

次の瞬間、禁断の言葉を繰り出した。


「今日からテスト期間な、中間の」

ぴしっと音がした。
教室にいる全ての者のうごきが止まる。
固まったまま、誰もうごかない。

数秒ののち、固まったままのチャイナが椅子から落ちた。


「オイいい加減にしろよどんだけ長いリアクションとってんだ
どんだけ嫌なんだよ」

俺もまた、肘をついた手にのせてた頬が落ちるのを寸前のところで止めたのだった。

テスト。テスト。

終わった。

だってサボってるもん、最近めっきり出てねーもん、授業聞いてねーもん。

「ま、せいぜい頑張れや。ちゃんと勉強しろよ〜

あ、そうそう沖田!あとで来い」
「はぁ!?」

突然の指名に間抜けな声を上げた俺を見て、ニヤニヤするチャイナや土方。

あとで覚えてろィ…


「はーい解散」

みなが一斉に席を立つ中、長いため息をついて銀八のもとへと歩く。
……気分わりぃや。

睨みをきかせて俺は歩みよった。
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