人の血 鬼の血 徒然編

□第24章 逃ゲナイ少女ト瓦解ノ覚悟
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首にぴたりとあてられた冷たい刃を尻目にあたしは戦闘の体勢を解いた。

だらりと下げた腕に後ろからもれる笑み。


この事態への諦観とみたか。

いやそうじゃない。
ただ、あたしの居場所を諦めただけ。

視線をずらせば必死にあたしを救おうと見上げる銀ちゃんたちの姿。

切なげに苦しそうに眉を寄せた、隊長。
なんで。

呟きは心の中で響くだけ。
なんで。悲しそう。

あたしがいるから?
あたしが諦めたから?

――あたしが、初めからみんなと歩むつもりなんてないって

知ってたから?

もう
鬼のあたしにはわからないけど。


この手にかけて、自分の落し前は自分で。
だからそんな顔しないで。


「くく……面白れぇ。よし、じゃあこうしようじゃねーか

お前らがそこから一歩でもこの娘の方へ来たら即殺す。

今すぐここから出ていけ。
そうすりゃお前たちは見逃してやるよ。そんときゃ代わりにこの娘を殺るぜ」

男を睨みつける一同。
あたしは息をついた。


―――みんながこちらに向かってきて殺したって、どうせ最後にはあたしも消すんでしょうが

見えきったことだ。

そしてもうそんな希望にすがる気もはなからなかったあたしは、ふっと笑むと後ろに張り付いた男を蹴り飛ばした。


「うあっ!?」

突然吹っ飛んだ男に銀ちゃんたちは目を見開く。

あたしは手すりまで駆け寄って腕をのせると叫んだ。

「逃げて!」

隊長たちがぎょっとしたように見上げてくる。

髪をおさえながら身をのりだして力の限り。


「逃げて!早く!」

あたしを見たりしないで。
そのまま逃げろ、すべてを捨てて。
見なかったふりをして。記憶も消してよ

あたしは、みんなには出会わなかった。

あたしはこれが済んだら
闇に帰るから―――――
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