ドロップ

□第3戦 性格は別として
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「…ちょっと待ってろ」


導いた答えを口には出さず、俺はポケットを探った。

――お、あった。
1枚抜き出し、紙をはがす。

「何?」
「じっとしてなせェ」

花音の白い肌に近づく。
柔らかなほほに、それをはりつけた。

「これでよし。」

「…絆創膏…?」
「ああ。」

自分のほっぺたにふれる花音。

「平気なのに」
不満そうにつぶやく。

「なに言ってんだ、そういうちょっとしたとこから菌が侵入するんでさァ
かわいい顔に傷がのこったらどーすんでい」

「かわいい?あたしが?」


うなずくと、花音はそっぽ向いた。


「女たらし。」

「誰がでィ」

これはあれだ、照れ隠しってやつか。強引な自己解釈をすませうんうんとうなずく。

「意外とかわいい奴ですねィ」

「なっ…バカにしてんの!?」
「別に」

「もう帰れ!教室に帰れ!」

花音はありがとうも言わずに、走り出した。

角に消えるまで見つめていた俺は息をついて冷たい壁にもたれる。

バカになんてしてない。
そう思ったのだ。




性格は別として


何かが可愛かった。


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