Blue rose
□ハジマリと、天使
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『また、今日もやっているのですか・・・』
ふと視線を窓の外にやる長く碧い美しい髪の女、ハイト。彼女は昨日も見たような光景にため息をひとつ。
窓の外にはファントムハイヴ邸にいるすべての使用人とその主人の姿、それに中国人の長髪の男が一人。
その中国人の男はセバスチャンと何やら決闘しているみたいが、一瞬で中国人の男は敗北した。
『坊ちゃんも、いい加減あきらめたら良いのに』
窓の向こうでギャーギャー、ワーワー騒ぐ彼らを余所に、ハイトはせっせと自分の仕事をこなしていた。
「ハイト、いいですか?」
自分の仕事とである食糧庫の在庫管理の最中に誰かに呼び止められ、ハイトは振りかえった。
『・・・・・・、セ、セバスチャン』
目の前に立っていたいたのは彼女が最も苦手としている人物セバスチャンだった。
「そんな露骨に嫌な顔をしないでください、傷付きますよ?」
彼は、ハイトに彼独特のなにか含んだ笑みでそう言った。
『心にもないことを言わないでください。
何か御用ですが?』
セバスチャンのへの態度はいつもこう冷たい。それは今日も例外ではないかった。
それでもセバスチャンはさっきに笑顔のまま、話を進めた。
「今日は坊ちゃんの大切なお客様が参りますので、その支度を手伝っていただこうと」
『わかりました、では料理の仕込みのお手伝いに陶器のお手入れ、掃除を済ませますね。
御客人が来る前に洗濯物を終わらせた方がいいですね』
「宜しくお願いします。ハイトはこれだから頼りになります。」
淡々と続けられた会話を打ち切ったのはセバスチャンだ。彼はハイトの目の前まで迫り、腰をかがめて彼女と同じ顔の位置まで自分の顔を持ってゆく。
ハイトは整った彼の顔が目の前に来ていて、思わずドキドキしていまい何されるかわからず、立ち尽くしていた
「充電、させて下さいね?」
そう言ってセバスチャンは軽く、甘いキスを彼女に。
『な・・・、なぁっ!』
顔を真っ赤にしたハイトは自分でも何を言っているのかわからないほど動揺する。
「初めてではないでしょう?
きちんとヒトのわかる言葉をつかないなさい。
さ、仕事ですよ」
セバスチャンは何もなかったかのようにこの場をあとに去って行ってしまった。
ハイトはと言うと、その場にへたり込み火照った熱を冷まそうと必死。
『わかってますけど・・・!なれませんって・・・』
こういうことは初めてでは無くて、もう何度もある。しかし、上がり症なため、彼女はなかなか慣れる様子は見せない。
さっきのことを思い出さないようにして、ハイトはセバスチャンに頼まれは仕事をこなすことにした。