Blue rose
□ハジマリと、天使
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ハイトさっそく仕事をするべく、厨房へと向かう。そこにセバスチャンが居ないようにと何度も願いながら行くと、思いは通じたのか、そこにセバスチャンはいなかった。
しかし、代わりに使用人であるメイリン、バルド、フィニ、それに影に小さくタナカまで。
『セバスチャンは坊ちゃんに呼ばれてるんですか?』
「あ!ハイトさんですだ!」
厨房に入ってきたハイトに気付いたのか、メイリンがハイトの元まで近づいて来た。メイリンの一声でバルド、フィニもハイトに気付いてこちらを見る。
「セバスチャンさんなら坊ちゃんに呼ばれて行っちゃいましたよ?」
先ほどのハイトの質問にはフィニが答えてくれた。
「オレ達今からセバスチャンをあっと言わせてやろうって言ってたんだよ」
『は、はぁ・・・』
どうせろくなことないんだからはりきらないほうが良いと、思ったのだが、あまりにも3人が目を輝かせて頑張ろうとしていたので、ハイトは何も言えなかった。あとでセバスチャンがどうにかするだろう、なんて考えている。
「じゃあ僕今から庭のお手入れいってきまーす!!」
フィニは元気よくそう言いながらこちらに手を振って、さっそく庭へ行ってしまった。ハイトはそんな彼を元気が良いなー、なんてのんきなことを考えながら料理の下準備を始めようとした。
『では、さっそく』
「ちょっと待った、ここはオレに任せておけ!ハイトは茶でも飲んでゆっくりしてな」
作業をはじめようとするハイトに割り込んできたバルド。
お茶のんでゆっくりはさすがにセバスチャンに叱られると、思いながらもハイトはお願いします、笑顔で彼に答えた。
彼に任せて大丈夫なはずはないのだけれど、やはり、バルドの自信の満ちた言い方にハイトは結局何も言えない。
『じゃあ食器でも・・・・・・』
「あぁあ!!それはワタシがするだよ!」
ハイトが持っていた布巾をメイリンは取って、食器棚へと向かい、お皿を取り出し、食器を磨き始めた。
普段、それなりに仕事をこなせてはいるので、大丈夫だろうとハイトは彼女にその仕事を任せることにする。
さて、自分の仕事はどうしようかと考え、まだ掃除と洗濯が終えてないことに気が付き、そちらを済ませることにした。
『えぇっと、では、お願いします』
それだけ言い残し、ハイトは厨房を後にした。
まずは、洗濯。
確か、朝セバスチャンがメイリンに頼んでいたはずのシーツがまだそのまま残っていたのでそれを洗濯する。その他にもたくさん洗濯しなければいけないものはあった。
『これだけ一人で洗濯するのは少々骨が折れますね』
洗濯かごを持ちながらふぅ、と一つため息をついて、ついついそんな独り言がこぼれてしまった。
「手伝って差し上げましょうか?」
また、背後から声をかけれた。
『・・・セバスチャン、後ろから急に声をかけるのはやめて下さい。心臓に悪いです』
「それは失礼しましたミセスハイト」
特に悪いと思っている様子もなく、セバスチャンはハイトに頭を下げた。
『私は結構ですので、他の使用人の方々のお手伝いでもしてきてください。』
ハイトは洗濯かごを持ったまま、すまし顔でセバスチャンの横を通り過ぎて外に出てタンク物を干していく。
「・・・・・・何をしていました?」
セバスチャンは嫌な予感がしたのか、顔を引き攣らせて彼女に尋ねた。
『フィニは御庭のお手入れにバルドはメインディッシュを作るって言ってましたね、メイリンは食器やティーセットを磨き上げるって言ってたわ。みんな、お客様が来るって、大張りきりでしたよ?』
ハイトは楽しそうにほほ笑みながらセバスチャンに嫌味も込めてそう言った。
「貴女は止めなったんですか?」
『どうして?あんなに頑張ろうとしているのに止めるなんて酷いです。』
ハイトは洗濯かごの洗濯ものを干し終わり、次の洗濯ものを持った来るべくしてまた中に入った。
「・・・・・・ハイト」
『・・・・・・・・・は、い?』
いつもの声色と違う、殺気のようなものを含んだセバスチャンに名前を呼ばれて、ハイトは肩を大きく揺らしそして、動きは一時停止た。
「あとで、お仕置きが必要ですね」
その時見た彼の笑顔はとてつもなく、恐ろしく、やはりあの時あの3人に大人しくしてるよう告げるべきであったと後悔するハイトであった。