Blue rose

□ご主人様と、天使
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さて、今日は坊ちゃんもセバスチャンもお出かけしているので幾分仕事が楽ですね。


すがすがしい朝を迎え、ハイトの主人であるシエルと、その執事セバスチャンは朝からお出かけしていて、家には居ない。


おかげで天敵(セバスチャン)がいないのでいつどこで彼が出てくるかわからずびくびくせずに済むので今は悠々自適に仕事をこなすことができる。


さっそくシエルの部屋を掃除用とした矢先、この屋敷内に入るヒトの気配を感じ取った。


『今日はお客様のご予定はないはずなのに、どちら様でしょうか?』


不思議に思って玄関までその客人の迎えに行くと、そこには一人の少女と、その少女に捕まっているフィニを発見した。


『エリザベス様ではありませんか!』


「アラ、ハイト!!」


『こちらにいらっしゃるのなら連絡をいただければお迎えに上がったのに』


「今日はシエルを驚かせたかったからいいのよ!」


『あぁ、坊ちゃんならお出かけなさってますよ』


その言葉を聞いた瞬間エリザベスはがくりと肩を落として、悲しそうな顔をしたが、次の瞬間にパアっと顔を明るくして


「じゃあ今のうちにお屋敷を可愛くしてあげましょう!」


エリザベスはフィニを引き摺ったままたお屋敷の中に入って行ってしまった。


「そうだ!ハイトにお土産持って来たのよ!もちろん来てくれるわよね?」


『そんな、恐れ多いですわ』


「ハイトもちゃ〜んと可愛くしてあげる!!」


『あ、ありがとうございます・・・』


満面の笑みでエリザベスに言われたら、断ることもできなく顔をひきつらせて返事をすればそのままハイトもフィニと一緒に引き摺られエリザベスの餌食にされるのだった。

















「これは一体・・・」


ようやく帰ってきたシエルとセバスチャン。2人の目の前に広がる光景はぬいぐるみと、花と、フリルでかわいく飾り付けされていて、いつものお屋敷とは全く違う、少女趣味な内装に代わっていた。


「「「セバスチャンさぁあん!!!」」」


と、屋敷の奥から使用人であるバルド、フィニ、メイリンがセバスチャンに泣きながら飛びついて来た。さすがにセバスチャンもそれには驚く。


「一体何事です?!」


「ハイトはどうした」


驚きを隠せない2人。
バルドが一つの部屋を指差した。


「あの女に聞いてくれ!」


バルドが指さす方の部屋を、シエルとセバスチャンが覗きこむ。中から声が少女の声と、ハイトの声が聞こえる。


「やっぱりハイトにこれを持ってきて正解だったわ〜!」


『あの、さすがにこれは・・・』


後ろ姿でよく見えないが、ハイトは何やらミルキーピンクのドレスに身を包んでいた。


「きゃー!!かわいい〜!!

あっ!

シーエールー!
会いたかったぁぁああ!!」


「エ…エリザベス!!」


エリザベスはシエルを見つけた途端、彼に飛びついて、頬を痛いくらいにすりつけていた。


それの横を通り過ぎてセバスチャンはハイトの元まで来た。後ろからの悪魔の気配にハイトは両手で自分の恰好を隠す。


「何も隠さなくても良いじゃないですか、ハイト。とても似合ってますよ」


クスッ、と人を小馬鹿にしたように笑って、セバスチャンはハイトの腕を掴んだ。


『や、止めてください・・・!と、いうより見ないでくださいー!!!』


両腕を掴まれて自分の恰好をセバスチャンにマジマジと見られて、ハイトは顔に熱が集中するのがわかった。まともに彼の顔が見られなくて、ハイトは顔をそむける


「そのままいただきたいですね」


ハイトはセバスチャンのにっこり笑った笑顔と言葉はなかったことにした。


「そうだ、セバスチャン!
あなたにもおみやげがあるのよ
ほら!」

セバスチャンの頭には可愛い花がついたピンク色のヘッドドレス。

これをハイトやそのばにいたエリザベス以外が、笑わずには居られなかった。後ろで笑う使用人3人をセバスチャンは制裁を下した。


「ハイトは後で憶えていなさい・・・」


蛇に睨まれた蛙の気持ちがハイトは今わかった気がした。












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