Blue rose

□ご主人様と、天使
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シエルは机の上に顔を伏せて、ぐったりしていた。


『大丈夫ですか、坊ちゃん』


ぐったりしている小さなご主人様に良い香りのダージリンティーを入れると、シエルはやっと顔を上げた。


「なんだ着替えたのか」


少し残念そうなシエルの顔。


『当り前じゃないですか、使用人にあのようなお召物は勿体ないです』


「似合ってたんだがな」


『そんなこと言っても何も出ませんよ?』


冗談だと受け取っている彼女にシエルは少し落胆した。


「セバスチャン、リジーをさっさと夕食でもなんでも口に詰めて追い返せ
少女趣味に付き合ってる暇はない。」


シエルは先ほどハイトが入れた紅茶を飲みながら、セバスチャンにそう言った。


「ですがエリザベス様はダンスをご所望の様ですが・・・」


一度、シエルの動きが止まって見えた。しかし、彼は相変わらず紅茶を啜る。セバスチャンが彼を呼んでも、シエルは「なんだ」と短い返事をしてセバスチャンに目を合わせようとしない。


それを見てか、ハイとが口を開いた。


『私は、この屋敷に来てから坊ちゃんのダンスを拝見したことは無いのですが・・・』


と、控えめに声をかける。


「ダンスの教養はおありで?」


セバスチャンのその問いに、シエルはいかにも、と言った様子で椅子をまわし後ろを向いた。


『通りで、ダンスパーティーに招待されても壁の花、なんですね坊ちゃん。
あら、いけませんわ洗濯ものを取り込みに行かなければいけません、それにまでお掃除が終わってませんので、私はこれで失礼します。』


「あ、おいハイト!」


主人の言葉を聞かなかったことにして、ハイトはその場から離れ、まだ少しも終わってない仕事を片付けることにした。


その間に、シエルがダンスのレッスンする話は進んでいた。


「僭越ながら、私めがダンスのご指導を」


にっこりほほえみを浮かべていうセバスチャンに、シエルは心底嫌そうな顔をする。


「馬鹿を言うな!!
お前みたないデカい男相手に踊れるか!
ハイトを連れ戻して来い」


「いけません、坊ちゃん。
ハイトはハイトのお仕事があるのです」


「・・・・・・」


シエルは心底不屈そうな顔をしてしぶしぶセバスチャンと練習することになってしまった。






















「あー!!!ハイト、勝手に着替えたわねー」


廊下を掃除中、廊下まで飾り付けをしていたエリザベスに捕まってしまったハイト。
本日二回目。


『あの格好では執務に差し支えが出てしまうので・・・』


「そう、それならしょうがないわね
あっ、これくらいなら大丈夫よね?」


落ち込んだ顔を見せるエリザベスにハイトは罪悪感を憶えた。

しかし、エリザベスはどこからともなく、大きな純白の薔薇をモチーフにしたリボンを取り出して、ハイトの髪に着けてあげた。


「やっぱりハイトには白が似合うと思うの」


『ありがとうございます、さあエリザベス様お部屋にご案内致しますのでそこでデザートにしましょう。今日はエリザベス様の分は私が作らせていただきました』


「ほんとう?!私、ハイトのお菓子はとっても可愛くて好きよ」


先ほどとは真逆の花を散らしたように可愛らしい笑顔を見せたエリザベスにハイトは安心して、自分も彼女につられて少し微笑んだ。




























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