Blue rose

□誘拐事件と、天使
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最近、ロンドンではネズミが異常発生していた。それはロンドン郊外のファントムハイヴ邸も例外ではなく、ネズミの被害を受けていた。


そんなネズミを捕まえようと意気込む必死な3人の使用人。そんな使用人たちを横目に、ネズミがどうしたのだというのですか、とも言わんばかりの表情で彼らを見つめていたハイト。だか、それは彼らには伝わらなかった。

ネズミなんてどうでもいいハイトはその駆除を彼らに任せ、自分の執務にこなすことにした。

だがしかし、彼女の小さな主人は違った。女王の憂いを晴らすため、英国に蔓延する鼠を駆除するために動き出していた。


【どうらやココにも鼠がいるようだ】

































ハイトの仕事はシーツや、シミ一つないテーブルクロスの洗濯。貴族の屋敷としてふさわしいシルバーや陶器を磨き上げる。廊下に飾ってある花を美しく保つために水の交換。お客様に何処を見られて恥じぬように、塵一つ見逃さずに掃除を徹底する。坊ちゃんの為のスイーツの下準備。やることはたくさんある。

横で未だにネズミを捕まえられないバルド、メイリン、フィニ、そしてちゃっかりネズミを捕まえているタナカを見て、この仕事を分けてやりたいとため息をついた。


「おいハイト」


『ぼ、坊ちゃん?!』


急に話しかけられたハイトは思わず飛び上がった。


『御客人はもうよろしいのですか?』


「あぁ、もうゲームには飽きたしな
仕事がある、手伝え。」


『御意』


主人であるシエルの命にハイトは応え、彼と一緒に執務室へと入って行く。

ハイトは部屋で異変を感じた。だがその時にはすでに遅く、シエルもハイトも何者かに掴まり気を失わされていた。

ハイトは普段、主人のまえ以外では人間らしくしていろ命令されえていたので無理に抵抗しようとはしなかった。




























セバスチャンがシエルの執務室にアフタヌーンティーを持っていくが、返事が無い。不思議に思ってドアを開けると、空きっぱなしの窓、風に揺らめくカーテン。空中を舞う書類、無人の椅子。そんな光景が広がった。


「坊ちゃんならまだしも、ハイトまで・・・
いったい2人でどちらに【お出かけ】されたのやら・・・・・・」


と、折角入れたティーの心配と上出来のディープパイが主人の口に入らないことに落胆した執事は、このあとどうするか悩んでいた。


「嗚呼、ハイト
あれだけ私のそばを離れてはいけないと言っているのに、全く・・・・・・」


主人の心配よりも自分の最愛の天使の心配をする悪魔は頭を悩ませて、窓の外を見てそう呟くのであった。



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