邸の裏庭

□トワイライト・バンパイア
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とある風紀委員の根城――応接室

そこに1人の少女が駆け込んで来た。

少女は、その部屋の主の机の前に着て一枚の紙を叩きつけながら言った。

「ねぇ、恭弥。」

「なんだい?」

部屋の主は書類整理をしながら少女の話を聞く。

「これ。」

そう言い、彼女が目の前に突き出したのは一枚のチラシだった。

そこには『ハロウィンパーティー、仮装コンテスト開催!』の文字。

「参加しない?」

彼女がそう言うと、少し考えた後…彼は口角を上げながらこう言った。

「良いよ、ただし仮装するものは僕が決める。」

――――――――

「吸血鬼、と何?」

仮装大会当日。

恭弥が自分で、仮装するものを決めると言ってから数日が経ち、既に当日になっていた。

私は未だに自分が何に仮装するのか知らない。

というか、恭弥が一向に教えてくれない。

そんな彼は、今黒いマントに身を包み、その口からは牙らしきものが見えている。

そこから想像するのは吸血鬼ぐらいしかないだろう。

「で、私は?」

何に仮装するの。

「君は僕に攫われた可哀想な女の子だよ。」

「は?」

ということは、私はそのまま制服ですか。

元々、今回恭弥を誘ったのはこの仮装大会がペアじゃないと参加出来なかったからだ。

仮装大会の後にダンスパーティーが開かれるから、という理由らしい。

因みに、主催者はボンゴレ。

「はい、早く着替えてきなよ。」

そう言いながら彼に手渡されたのは黒いドレスだった。

「君は攫われ可哀想な貴族の女の子なんだからね。」

まさかの貴族設定…!

「とりあえず、着替えてくるわ。」

更衣室に指定されている部屋に行くと、比較的中はすいていた。

理由は恭弥がドレスを早く渡してくれなかったからだろうけど。

ドレスはサイズがピッタリだった。

何で、私のサイズを知っているのか気になるが…。

周りを見渡す限り、ドレスは私だけみたいだ。

あまり、仮装っぽくない子なら1人だけ居たが…。

着物を着て頭が角が生えている女の子。

「鬼?」

「え、あ…はい。」

女の子は急に声を掛けられるとは思っていなかったようで多少挙動不審だ。

「あの、貴方は?」

「ん?私は吸血鬼に攫われた可哀想な貴族様だよ。」

って、そういうことを聞いてる訳じゃないか。

「私は雪村千鶴と言います。」

「私は##NAME1##だよ。良かったら、一緒に行かない?千鶴ちゃん。」

「はい。」

仮装の準備などはホテルの一室だったが、大会自体の会場は船である。

言うならば、ハロウィンクルーズだろうか。

というか、恭弥と一緒に乗らなかったから恭弥の居場所分かんないや。

千鶴ちゃんは千鶴ちゃんで自分のパートナーを探しに行ってしまった。

実質、私は1人。

「ねぇ、君。1人なの?」

ふいに声を掛けられたのは頭に耳が生えた青年だった。

「まぁ…、パートナー行方不明なんで。」

「なら、僕と同じだね。もし、良ければ一曲どうかな?」

大会審査自体はダンスの時に勝手に審査されるらしい。

「一曲だけなら。」

彼を探すのも大変だしね。

「君は何に仮装してるのかな?」

「可哀想な貴族?」

私はそう答えた。

「あははは!何それっ……」

え、そんなツボ?

「因みに、貴方は何に?」

「僕は狼男だよ。そうえば、まだ自己紹介してなかったね。沖田総司です、よろしくね。」

「私は##NAME1##。よろしく。」

私は彼とワルツを一曲踊った。

「ところで、沖田さんのパートナーは?」

一曲踊り終わった後、私は彼に聞いた。

このパーティーは必ずパートナーがいないと参加出来ないはずだから。

「鬼の女の子なんだけどね、##NAME1##ちゃんと同じではぐれちゃったんだ。」

それって……

「沖田先輩、すいませんっ!」

突然、こちらに向かってきた声は更衣室で出逢った女の子、千鶴ちゃんだった。

「大丈夫だよ。僕はその間に、彼女と一曲踊ったからね。」

「彼女……?え、##NAME1##さん!?」

「あれ、君達知り合いだったの?」

「まぁ…?」

知り合いというか、なんというか…。

そんなやり取りをしていると、ふいに後ろに引っ張られた。

「やっと見つけたよ、##NAME1##。」

そこには、私が探しいた彼の姿があった。

「恭弥。」

後ろに引っ張られた所為で、私は恭弥に後ろから抱き締められる形になっている。

「行くよ。」

「じゃあ、私はこれで。」

彼らに別れの言葉を言いその場を後にした。

「んで、恭弥は怒ってるわけ?」

抱き締められてはいないが、彼の腕が腰に回っていたりする。

「なんで、僕と一曲目を踊ってくれなかったんだい?あんな狼男と初めに踊るなんて…」

「恭弥がいないのがいけないんでしょ。」

「もう離さないから。」

「はいはい…。」

ったく、相変わらずだよね。

――トワイライト・ヴァンパイア――

(優勝者は、六道骸さんです!)

(クフフフ…まさか優勝するとは、さすがに思いませんでしたよ。)

(優勝賞品は、此方!パイナップル一年分です。)

(………。)
 

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