――部屋に戻るか。 呼び戻す必要もないだろうと歩く俺は、背中からお師匠様の声がして、あと少しで部屋というところで振り返る。 「江流。預けた子を見かけませんでしたか?」 「庭にいると思います」 「困りました。お昼ご飯を持って来たのですが、名を聞いていなかったので呼べません。コレを届けてあげて下さい。はい、二人分のおにぎりです」 「……わかりました」 ――あのバカ、やっぱ一発殴ってやる。 余計な仕事を増やしやがって……と、受け取った昼飯を睨んでしまっていた。 まだ庭だろうと探すのに、その姿を見つける事が出来なくて苛立ち始める。 少し奥まで歩いていくと栗色の髪がひょこっと覗いていた。 「おい、バカ。お昼だとよ」 その目の前まで歩いていくと、薄桜色の瞳が開く。 |