月光浴


□episode 5
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「江流。頼みたい事があるのです」

いつもニコニコしてる江流のお師匠様は、江流だけを呼ぶと俺にも微笑みかける。

大事な話みたいだし席を外そうかな、と廊下に出ていた。

「いい香り……。金木犀?」

ペタペタと香りのほうへ廊下を進むと、昨日ぶつかってしまった僧に会った。

「お、江流の友達!」

「確か……朱泱……さん」

「朱泱でいいよ。おまえさんは何て言うんだ?」

「……」

「名がないのか?」

昨日みたいにヒョイと持ち上げられ、見上げるような朱泱と目が合う。

その一瞬に時間が止まったような錯覚がして、それほどの強い思念を持つ彼を眺めていた。


「……水晶、みたいだな」

「すいしょう?」

「知らないのか?」

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