月光浴


□episode 6
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真夜中に俺の部屋の窓から月を眺め、溜息を吐く栗色。

「俺は……何故こんなにも、生にしがみついているのでしょう……父様……」

その声は消えてしまいそうで、その言葉は他の誰かを呼び続けているように聞こえた。

「……俺じゃ、ダメなのか……」

月が恋をするのも無理はないと思う。

その瞳は月に縋るようでいて真っすぐと、どこか愛おしそうに、見上げているのだから。

「起きてたのか、江流……。明日も早い。早く寝よう」

振り返った栗色に、あぁ、と答えることしかできなかった。

俺の言葉は、無かったことになっているのだから。

瞳を閉じて背中を見せるように寝返りを打てば、小さな手が眠れない俺の髪を撫でる。

母親がいればこんな感じなのだろうと、遠くなる意識の中で思った。

「明日は町に出る……。オマエも、来るよな?」

「いいよ。江流が、そう望むなら」

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