部屋に案内されて襖が閉まるとすぐに、栗色が口を開いた。 「江流。風呂行ってこいよ」 「オマエは?」 「ひょっとして、一人は寂しいとか?」 普段の俺なら、お子様だと馬鹿にされれば一人でも大丈夫だと風呂に行っただろうが、何故かそんな気分にはならなかった。 どちらかというと俺がオマエから目を離したくなくて、フツウの事のように言い訳を準備している。 「いや……。場所が分からない。案内してくれ」 「……いいよ。じゃぁ、一緒に入るか。そんなに時間はかからないだろうし」 少しの間に何かを考えたんだろう栗色は、俺に譲ってくれたんだろう。 ここが露天風呂だと知らなかった俺は、汗さえ流せればいいかと思っていた。 服を脱ぐのは勿論、体を洗う間もだが、湯に浸かった今でさえ、コイツとは常に背中合わせだ。 ソレがどうも意図的のようで、チラッと盗み見るように目をやった。 |